今年の残りをアップデートでしめくくり。
2021.11.30
はらむらようこさんの暮らしの中から、整えていること、すっきりしたこと、そして気持ちがほっとしたこと、ときには新しい発見をみつけたことなど普段の暮らしで大切にしているエピソードを毎月ちょっとずつご紹介します。一年間を通して、暮らしのヒントをご紹介いたしました。残り2回は、1年の締めくくり「整える気持ち」でご紹介いたします。
-No.10-
1年のおわりにアップデート
片づけの仕事をして9年になります。家が片づくことで人生が豊かに、より幸せになられるお客様をたくさん見てきました。「整える」効力は想像以上です。新年をより清々しく迎えるためにも、長いコロナ禍で疲れた暮らしを癒すためにも。まずはご自身のために、お家をアップデートしてみませんか?!
1.アップデートのきっかけ
プロになるまでは、家は散らかっていました。家をすっきり片づけたいと収納グッズを買って試行錯誤するものの収納家具の分だけ余計に狭くなり、さらに物を探し回る生活でした。家事と育児で精一杯の上に、物の紛失等で夫とも喧嘩が多くなっていました。気に入って購入した住居でしたが物が混乱し居心地は悪く、逃げるように外出していました。さらに、夫の趣味の多さや、赤ちゃん用品がかさ張るなど、片づけられない理由を家族のせいにして、片づけられない自分から逃げていました。乱雑な家よりもそんな自分に嫌気がさしはじめ、わたしが変わらなくてはと思いました。
2. 片づけるイメージを変えよう
皆様は片づけと聞くとどんなことをイメージしますか?引き出しの中にある使っていない物、壊れたものを捨てたり、収納グッズを揃えて綺麗に並べるなどではありませんか?それも間違いではありませんが、間引く、揃えるやり方だと、お金と時間がかかる上にリバウンドしやすいです。現場経験で得たわたしの提案する片づけの仕方は、
「今、あなたが、好きなモノだけしか、家に入れないこと」です。ここでいう好きの基準ですが、失くしたら、泣く、見つかるまで何時間でも探せる。同じものを再度買う。です。その高いレベルの「好き」だけにする理由は、好きなモノは大切にし、乱雑には扱わないからです。どんなに乱雑な家に住まわれる方でも、好きなものは大切にされており、気が付きました。大切だから自然と元に戻し片づけて、習慣化しやすいのです。これだけ物の多い現代で片づけを躾とするのは無理があると思います。その人の感じる美意識、大切、好き、という自然な気持ちで暮らしを整えることに活かしたいと思ったのです。
3.アップデートをしてみよう。
アップデートを「文化的登山」と例えています。習慣化するためにはその理想の山頂まで登らなければなりませんが、はじめは登山経験も脚力もなく登山ルートも定かではありません。片づけは家事の範ちゅうを超えた過酷で難関なものと考えています。何年もかけて蓄積したもので劇的には変化しません。それでも1日15分だけタイマーをかけてとにかく一歩づつ歩みを進めましょう。いつか、視界が広がり美しくなっていく家に励まされるようにして進んで行きます。
おすすめの序盤の作業箇所は①キッチンツールの入っている引き出し ②メイク道具 ③紙袋 ④文具 など、自分1人で判断でき処分することもできるゾーンをおすすめしています。読み込むのに神経を使うわりに空間に大差がない資料や書類などの紙ものや、使っていない納戸などは達成感が得られにくいです。登山の最後に回しましょう。
料理は楽しいものです。その喜びを家族にも味わって欲しい。料理初心者でも子どもでも感覚的に分かり、瞬間的に手に取りやすいキッチン収納を心がけています。特に一番上の最も使いやすいこの引き出しは、深さがあり収納しようと思えばもっと入りますが、詰め込まずに毎日使うものだけ、一目瞭然を心がけています。
メイクするのは自分と向かい合う特別な時間。粉などが飛び散り汚れがちですが、綺麗になっていると嬉しい場所でもありますね。化粧品を厳選し、清潔に保てるように心がけています。外出前など慌ただしい時に使うことが多いでしょう。さっと手に取れ使いやすくなりますね。お試しできない化粧品など肌にあわない商品は、すぐに手放す覚悟で慎重に購入しています。試すことのできるものは美容部員さんに相談にのってもらってメイクをアップデートと学ぶ気持ちで購入しています。
多くなりがちな紙袋は、どんな用途で紙袋を使っているのかを思い返してみましょう。人に本を返す、お弁当を持参する、荷物を発送する、などがあるでしょう。使用用途を確認すると使用しない紙袋のサイズは処分できます。大きさがすぐに分かるようにマチを上にして収納すると使いやすいですよ。また、紙袋のブランドもよく見てみましょう。高級ブランド名が大きく書かれた紙袋などは、なんとなく捨てにくいものですが、使いにくいものでもありますね。
なくなった時のためにと、文具を大量にお持ちと思いますが、ボールペン、シャーペンはそれぞれご家族分くらいを目処にしてみましょう。絶対に無くしたくない書きやすくてデザインの大好きな1本を厳選すると、不思議なことになくすことはなくなりますよ。あまりテレビを見ないためリモコンは、テレビを見るソファ付近の引き出しに収納しています。よく見られるなら出していても良いと思います。テレビを子どもにあまり見せたくない場合もリモコンを収納して見えなくするのも効果があります。
毎日少しずつ15分間、整理する時間をもうけてみましょう。捨てなきゃではなく、家にあるすべての物の中から、好きな物は何かを掴み取る気持ちで、今自分が大切にしているものを確認していきましょう。
12月の最終回はお家全体のアップデートにチャレンジしてみます。
著書『「好き」から始める暮らしの片づけ』(ワニブックス)
コープこうべネットで見る こちら→
はらむら ようこさん
生活デザイン研究室 こちらから整理収納サービスを重ねるにつれ、
「好き」から始まる暮らしの片づけ ワニブックス社から出版